黄体化未破裂卵胞について

黄体化未破裂卵胞について

月経開始から発育を開始した卵胞は、その径が18〜22㎜に達すると女性ホルモンの上昇に呼応した黄体形成ホルモン(luteinizing hormone; LH)の上昇(いわゆるLHサージ)によって、卵胞破裂、つまり排卵に至ります。

卵胞が破裂してはじめて成熟した卵子が卵巣外へ排出され、卵管に癒着等のピックアップ障害がなければ、卵管采に取り込まれ、もしその時点で待機していた受精能力のある精子がいれば、多くは受精に至ると考えられます。これが妊娠成立の第一歩であることは間違いありません。しかし、大きくなった卵胞は必ずしも破裂するとは限りません。

破裂するためには、破裂を阻害するような物理的な要因(卵巣周囲の癒着;クラミジア感染や術後癒着、卵巣表層に存在する厚い莢膜細胞層;多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜症性嚢胞など)がないことが重要です。また、LHサージを阻害するような高プロラクチン血症があっても、卵胞は破裂しにくくなります。
意外なことに、卵胞破裂をするためには蛋白分解酵素が必要で、これは鎮痛剤によって合成が妨げられます。排卵時期にありながら、不要に鎮痛剤を使用すると卵胞壁の亀裂が生じず、排卵しないまま黄体へと変化する、いわゆる黄体化未破裂(非破裂)卵胞(luteinized unruptured follicle; LUF)へと変化します。

我々は、LUF(ルフ)と呼び、患者様はもちろんのこと、我々もこれほどがっかりさせられる状況はありません。やっかいなことにLUFであっても、黄体ホルモンは分泌されるため基礎体温は上昇するので、排卵確認の超音波検査がされていない場合には、「ああ、排卵した」と皆さんをなんとなく安心させてしまうところに、大きな問題点があると考えます。

一般的にはどのような女性でも全月経周期の7%程度はLUFが生じるとされていますので、年に1回くらいはこのような現象が起きていると考えられます。しかし、以下にあてはまる方の場合はもう少し多く発生している可能性があります。

  • 過去にクラミジアに感染したことのある方
  • 骨盤内の手術を受けたことがある方
  • 多嚢胞性卵巣症候群
  • 子宮内膜症
  • 卵巣嚢腫がある

LUFのもうひとつの問題点は、次周期にも影響を及ぼす可能性がある点です。

月経時に超音波検査を実施することは、我々のような不妊治療を専門とする婦人科医には常識ですが、一般的な婦人科医は実施しません。

しかし、月経時に超音波検査を実施すると、30㎜以上の卵巣嚢胞を認めることが少なくありません。これがLUFのある意味なれの果てです。排卵せず、巨大化する傾向があるのがLUFの特徴で、なかには50㎜以上の類腫瘍として認識されることもあります。

このような場合(径が25㎜以上)には、

  • 卵巣嚢胞を針で穿刺して内容液を吸引する
  • 経口避妊薬を用いて、下垂体ホルモンを抑制し、自然縮小を待機する

の選択肢があります。

2)の場合は、お休みになりますので、その周期での妊娠が当然期待できません。

これはいかがなものでしょう…。

前回も、卵子が卵管内まで移行していないため(LUFですから、LUF内で卵子は留まっていた形になります)、妊娠の可能性は「0」であり、その次の周期も“避妊”を強いられる形になります。つまり、2周期を無駄にするわけです。

妊活モードでの2周期キャンセルは、できれば避けたいですね。我々は、できるだけ妊娠できるチャンスを得るため、積極的に1)を行います。局所麻酔で、極細の穿刺針で行いますから、痛みはほとんどありませんからご安心を。

LUFに関する基本的な姿勢として、我々は、患者様には可能な限り、排卵が行われたかどうかの確認までフォローいたします。もし実際に排卵確認時に、LUFとなる可能性がある場合にはヒト絨毛性ゴナドトロピンの反復投与を行い、できるだけ排卵に持っていくような工夫を行っています。

ただし、反復する場合には、根本的な治療が必要ですから、経口排卵誘発剤から注射剤による排卵誘発への切り替えや、あまりにも繰り返す場合には、腹腔鏡手術や体外受精へのステップアップをお勧めすることがあります。

いずれにしても、タイミング療法や人工授精を行っている方に対して、排卵確認の超音波検査を行うことは非常に重要だと思います。もし、現在受診されている病院で、万が一排卵確認の超音波検査が行われていないようであれば、どうぞ遠慮なく、当院へご相談にいらして下さい。これほど重要なことはありませんから。

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