体外受精について

当クリニックにおける体外受精

当クリニックでは卵管通過障害に対する卵管鏡下卵管形成術を積極的に行っており、人工授精を含めた「一般治療による妊娠」をできるだけ目指す方針としています。しかしながら、これらの治療法にも限界があり、一般治療が奏功しないご夫婦にとって、いまや体外受精を含めた生殖補助医療は欠かせない治療法となっており、日本産科婦人科学会によれば、平成26年の国内における生殖補助医療による出生児数は約4万7千人にのぼり、じつに21人に1人がこの治療によって出生しています。

当クリニックは、平成25年5月に日本産科婦人科学会が認定する生殖補助医療の認定施設に登録され、すでに多くの体外受精/顕微授精-胚移植・凍結融解胚移植を実施しており、多くの方によいご報告をさせて頂いています。今後も可能な限り、「一般治療による妊娠」を目指していくことに変わりはないのですが、一般治療では解決できない原因が存在する場合や、一般治療を一定期間(※)行っても妊娠に至らない場合には、最終的な方法として、生殖補助医療へのステップアップを提案させていただきます。

(※)一定期間:女性年齢や、卵巣予備能、不妊期間、今までの治療歴によって異なりますが、数ヶ月~半年間と考えています。特に、人工授精を6回実施しても妊娠に至らなければ、その後の人工授精による妊娠は、あまり期待できないとされています。

生殖補助医療の適応

  • 明らかな原因は特定できないが、人工授精を含む一般治療を一定期間(※)行っても妊娠に至らない場合
  • 不妊原因に対する治療(排卵障害に対する排卵誘発、卵管通過障害に対する卵管鏡下卵管形成術、子宮内膜症や筋腫、ポリープに対する薬物・手術療法など)後に、人工授精を含む一般治療を一定期間(※)行っても妊娠に至らない場合
  • 生殖補助医療が必要な明らかな異常がある場合(無精子症など)

なお、生殖補助医療は妊娠だけを目的とするものではなく、安全な出産を目指すとともに出生児の健康を守ることも重要です。その観点から、生殖補助医療を実施する施設に対しては、移植する胚数は制限されており、出生児の長期予後調査も求められています。当クリニックでも日本産科婦人科学会の規定を遵守する立場から、移植胚数は原則として1個のみとし、年齢、治療回数を考慮しながら移植胚数は最大2個までとしています。また、治療成績については、体外受精で出生した児の状態を含め、日本産科婦人科学会への報告が義務付けられており、学会や論文発表に用いられることもあります。個人情報の取扱いには充分留意し、ご夫婦及びお子様の人権が損なわれることがないよう当クリニックの規定により個人情報を保護いたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

受精障害のリスク

採取された精液所見(精子濃度、精子運動率、奇形精子率)が良好であった場合でも、体外受精(媒精)後に、受精卵が全く確認できない全受精障害か、受精率が極端に低い受精障害が約10%の確率で発生すると報告されています。通常、自然妊娠歴のあるご夫婦の場合には、受精障害が発生することはまれですが、体内環境と体外環境による精子運動性の変化等により、受精率が極端に低下する場合もあります。
なお、採卵当日の精液所見が予想以上に不良で、受精障害のリスクが高いと予想された場合には、当クリニックの基準により顕微授精へ変更いたします。ただし、顕微授精でも、必ず正常受精するわけではありません。正常受精するためには、卵細胞質内に精子が注入された後、卵子が活性化されることが必要ですが、この過程に障害があると、顕微授精の場合でも受精しない、あるいは異常受精を起こすことがあります。また、卵細胞膜を針で穿刺することにより、卵子が変性することもあります。

写真左:正常受精 精子側の核(雄性前核)と卵子側の前核(雌性前核)の形成
写真右:異常受精 (前核が3個形成)

検卵

穿刺して吸引した卵胞液中に卵子が含まれているかを、胚培養士が顕微鏡下に確認します。確認された卵子は、培養液へ移され、至適環境下で数時間にわたり培養されます。

検卵用クリーンベンチ(左側下に手術室と通じるパスボックス)

写真左:採卵直後の卵子(卵丘細胞複合体)
写真右:採卵直後の卵子(拡大)

受精

i)体外受精(媒精)

調整した精子を卵子の存在する培養液内に一定の割合で注入(媒精)し、その18~20時間後に顕微鏡下に正常受精の有無を確認します。

i)体外受精(媒精)

ⅱ)顕微授精

卵子の周囲にある卵丘細胞を酵素(ヒアルロニダーゼ)によって取り除いた後で、卵子の成熟度を確認します。未成熟卵子は顕微授精に使用しません。精子に必要な処置を加えた後で、顕微鏡でくまなく精子の状態を確認します。形態が正常な良好運動精子を、顕微鏡下にマイクロマニピュレーターを用いて、最初に運動しない状態にさせます(不動化)。そして不動化した精子を極めて細い針内に吸引し、特殊なピペットで固定された成熟卵子の細胞質内に穿刺して、吸引した精子を注入します。当院では、NARISHIGEの空圧式インジェクターを使用しています。
受精の確認は顕微授精を実施してから18~20時間後に行います。

ⅱ)顕微授精ⅱ)顕微授精

写真左:顕微授精用マニピュレーター
写真右:実際の顕微授精

ⅱ)顕微授精

顕微授精のイメージ図

ⅲ)スプリット法

不妊原因が不明である場合には、精液所見が良好でも「受精障害(※)」は完全に否定できません。
特に自然妊娠歴がない方の初回採卵時には、慎重に受精方法を検討する必要があります。だからといって、最初からすべて顕微授精にしてしまうと、「受精能力」があるかどうかが不明のままで、また妊娠率や胚盤胞到達率が高いと言われている「一般体外受精」のメリットも活かせません。そこで、当クリニックでは、採卵で得た卵子の半分に対しては、「一般体外受精」を残りの半分には「顕微授精」を実施する「スプリット法」をお勧めしています。

(※)受精障害:採取された精液所見(精子濃度、精子運動率、奇形精子率)が良好であった場合でも、体外受精(媒精)後に、受精卵が全く確認できない全受精障害か、受精率が極端に低い受精障害が約10%の確率で発生すると報告されています。通常、自然妊娠歴のあるご夫婦の場合には、受精障害が発生することはまれですが、体内環境と体外環境による精子運動性の変化等により、受精率が極端に低下する場合もあります。

胚培養

正常受精した受精卵を1~5日間にわたり、至適環境下に培養器(インキュベーター)内で培養します。使用する培養液に関しては、受精方法によって種類を変え、初期胚培養用と後期胚培養用で組成の異なる培養液(Sequential Medium)、あるいは受精から胚盤胞まで同じ組成の培養液(One-step Medium)を用意し、できるだけ患者様ごとに胚の発育環境に最も適した培養液を提供できるように努力しています。

  • 胚培養

    1日目(受精卵)

  • 胚培養

    2日目(4分割胚)

  • 胚培養

    3日目(8分割胚)

  • 胚培養

    4日目(桑実胚)

  • 胚培養

    5日目(胚盤胞)

胚凍結および融解

当クリニックでは、以下に該当する場合には、胚凍結を行うことにしています。

新鮮胚移植時に余剰胚がある場合
卵巣過剰刺激症候群の発生が危惧される場合
着床率低下の可能性が高い場合
新鮮胚移植が反復して不成功の場合
母体の体調が不良である場合

上記の胚凍結の適応に該当し、胚凍結を行う場合には、分割胚数や胚質を参考に、今後の治療プランを考えた上で凍結する発育段階を決定します。
胚を凍結する実際の凍結方法としては、細胞内液を高濃度の凍結保護剤で置換し、-196℃の液体窒素の冷気を利用して間接的に胚を冷却する閉鎖型の超急速ガラス化凍結法を用いて、胚を凍結しています。この方法であれば、胚が直接的に液体窒素に接触する心配がないため、液体窒素内でのウィルス感染のリスクを回避することができるという利点があります。
また、胚の融解方法は、急速融解法を用います。液体窒素内から37℃に保温した融解液内へ投入し、胚の融解用に調整した培養液中で融解操作を行います。

体外受精の成績

当院における平成28年1月1日から平成28年12月末までの高度生殖補助治療の成績を
ご報告いたします。

凍結融解胚移植の臨床妊娠率

●胚移植件数

  • 35歳未満 112
  • 35-39歳 148
  • 40-44歳 140

●臨床妊娠率

  • 35歳未満 42.9%
  • 35-39歳 47.3%
  • 40-44歳 25.7%

凍結胚・卵子・精子の保存期限の更新および廃棄について

凍結胚・凍結精子・凍結卵子の保存期限

凍結胚・凍結配偶子(卵子・精子・精巣組織)の保存期限は、それぞれの「凍結保存規約」に記載しているように「凍結日から1年間」とさせていただいています。技術的にいえば、半永久的に胚・配偶子の保存は可能であり、「凍結を実施したときの年齢における胚質や配偶子の質」が維持されるため、たとえ数年後に胚移植を行う場合でも、「凍結を実施したときの年齢における妊娠率」が期待されます。
出産後の方、あるいは出産を予定されている方におかれましても、もし第2子以降をお考えであれば保存期限の延長をお勧めしています。

更新期限日…凍結保存委託書に記載

当院では、患者様の費用負担軽減を考慮いたしまして、1回の採卵で凍結した複数の胚については、「同じ更新期限日」として保存しております。つまり、1回の採卵で初期胚と胚盤胞の両方を凍結された方の場合でも、保存期間更新料は1回分しか頂いておりません。ただし、複数回の採卵・採精によって、それぞれ凍結保存した胚・配偶子については、たとえ更新期限日が1ヵ月の違いであっても、個別に保存期間更新料を頂いておりますので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。

更新手続きの受付期間

更新期限日以降も継続して胚・配偶子の凍結保存をご希望の場合は、「更新期限日の1ヶ月前から更新期限日まで」の間に、更新手続きをお願いしております。更新書類に関しては、更新期限日の約1ヵ月前までに当院から郵送させていただきます。
なお、新しい「更新期限日」は、更新手続きを行った日から1年間ではなく、前回の更新期限日から1年間とさせていただきますので、お忘れになる前にできるだけ早めに更新されますようお願いいたします。

更新手続きの申請

凍結保存期間更新料のお支払い

更新料は

  • 凍結胚 40,000円
  • 凍結卵子 40,000円
  • 凍結精子  20,000円
  • シートメディウム 10,000円

となっております。

凍結保存期間更新料のお支払いは、下記口座へお振り込みいただくか当院受付にてお支払いください。

なお、お振込みの際は、ご依頼人氏名の前に当院のカルテ番号(ID番号)の記載もお願いします。

銀行 りそな銀行
支店 船場支店
預金種別 普通預金
口座番号 0361085
名義 春木レディースクリニック 院長 春木篤

更新手続きの完了

『保存期限延長依頼書および委託書』と『ご入金』の両方の確認が取れましたら、『依頼書および委託書』の控えと領収書をご返送いたします。当院からの『依頼書および委託書』の控えがお手元に届きましたら、更新手続きは完了となります。
もし万が一、『依頼書および委託書』の控えと領収書が2週間以上にわたりお手元に届かない場合は、お手数をおかけいたしますが、当院までご連絡いただきますようお願いいたします。

凍結胚・凍結配偶子・シートメディウムの廃棄手続きの申請

当院では、凍結胚および凍結配偶子の誤廃棄を最大限防止するため、一部のみの胚・卵子・精子・シートメディウムの廃棄処分依頼はお受けしておりません。したがって、

廃棄処分を希望される場合には、当院でお預かりしている(更新期限日の異なる)すべての胚、または配偶子、またはシートメディウムが廃棄処分の対象となります点をご了承くださいますようお願い申し上げます。

『廃棄処分依頼書』に関しては、更新期限日の約1ヵ月前に郵送させていただきます。

『廃棄処分依頼書』が届きましたら、誤廃棄防止のために、当院よりご本人様に最終確認のお電話をさせていただきます。お電話にて廃棄処分のご意向に間違いがないことが確認できましたら、即座に廃棄処分を開始いたします。後日、廃棄処分依頼書の控えを返送させていただきます。 

※廃棄手続きの申請は、更新期限日に関わらず、いつでもお受けいたします。

注意事項

* 更新手続きの受付期間は、更新期限の1ヶ月前から更新期限日までです。
* 万が一、更新期限日をお忘れになられ、更新期限日から3ヶ月以上経過してから保存期限の延長を希望される場合には、すでに凍結胚・配偶子が廃棄されていないかどうかを確認させていただくために一度ご来院していただく必要がありますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
* 署名・捺印は、必ずそれぞれご本人が直筆で署名、ご自身の手により捺印をお願いいたします。
* 凍結期限更新料については、「振込み」または「当院受付でのお支払い」とさせていただきます。なお、お振込み時の振込手数料は、患者様負担とさせていただきます。
* 万が一にも、卵子または精子を凍結されたご本人が他界された場合や、ご夫婦が離婚、あるいは死別された場合には、凍結胚・配偶子の更新期限日の延長はできず、廃棄させていただく形になりますので、必ずご一報くださいますようお願い申し上げます。
* ご不明な点は、診療時間内にお電話にてお問い合わせください。

Q&A

Q

更新期限日が同じ初期胚と胚盤胞を凍結しているのですが、そのどちらか、あるいは1個だけを更新したいのですが、可能でしょうか?

A

胚の誤廃棄を最大限予防するために、同じ更新期限日の胚はすべて一括して更新していただくように皆様にお願いしています。

Q

シートメディウムだけを廃棄したいのですが、可能でしょうか?

A

可能ですが、複数のシートメディウムがある場合は、それらを一括してすべて廃棄処分とさせていただきます。当院から郵送した「全シートメディウムの廃棄処分依頼書」に必要事項をご記入のうえ、当院へご郵送ください。

Q

更新期限内に更新するのを忘れていました。どうすればいいですか?

A

当院まで速やかにご連絡のうえ、更新期限日の延長を希望されている旨をお伝えください。ただし、更新期限日から3ヶ月以上経過している場合には、廃棄処分が行われている可能性がありますので、廃棄の有無を確認していただくために、一度ご来院していただく必要がございます。
なお、診療時間外でのご連絡はお受けできませんので、夜間・休日等にお気づきになった場合は、翌日以降の診療時間内にご連絡ください。

Q

更新期限日の1ヶ月以上前から更新手続きはできますか?

A

申し訳ありませんが、不要な更新料を頂くことがないように、原則として更新期限日の1ヶ月前から更新手続きを受け付けております。

Q

複数周期の採卵で凍結した胚の更新を一括してお願いできますか?

A

申し訳ありませんが、更新期限日が異なっている胚については、それぞれの更新期限日の1ヶ月前から個別に更新手続きをおこなっていただくようにお願いしております。

Q

更新料の振込後、更新期限日前に凍結胚を融解しました。 更新料は返金されますか?

A

更新期限日前に胚または配偶子を融解した場合には、更新料は不要となります。
したがって、もし万が一、融解した胚または配偶子の更新料をすでにお振込みされていた場合には、更新料は振込手数料とともに当院受付にてご返金させていただきます。

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