クリニックBlog

2015.07.02更新

rain7月に入り、もうすぐ梅雨明けですねsun

今回は、胚の凍結保存についてお話させていただきます。

胚を凍結することには、さまざまなメリットがありますheart02

☆新鮮胚移植後、質のよい胚が残っていれば保存しておくことができます。
 これによって次回は採卵せずに移植に進むことができます。

☆排卵誘発により卵巣過剰刺激症候群(OHSS) を発症した場合や患者様の体調が悪い場合、回復してから移植することができます。

☆胚を凍結しておけば、子宮内膜の状態が一番適した時をねらって融解して移植することができます。



また、分割期胚、胚盤胞胚ともに凍結保存が可能です。

それでは、どのように胚凍結が行われているのかを見てみましょうeye

まず、凍結によって胚がダメージを受けないように、凍結保護剤の入った試薬で処理します。
処理した胚を、胚凍結専用の保存容器に入れ、-196℃の液体窒素で瞬間的に凍結させます。

これをさらに患者様ごとにラベルされたケーンという容器に入れ、液体窒素の入った凍結タンクに保存します。








患者様の移植日が決まったら、この胚を融解して移植に用います。

当院での凍結融解後の胚の生存率は
分割期胚・・・97.6%
胚盤胞・・・・ほぼ100%

となっており、凍結による胚へのダメージはほとんどないと考えられます。
胚移植についてはVol.11に詳しく載っていますのでご参照下さい


なお凍結保存期限は1年間となり、1年ごとに保存期限の更新も可能です。


次回は、胚の融解についてお話しさせていただきますclover


培養士 堀

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2015.06.09更新

培養室へようこそ!Vol11~胚移植~

今回は胚移植のお話です。
こちらのシリーズもいよいよ終盤となってまいりましたclover

胚移植は体外受精の中でも最も大切な部分であると言えます。

胚移植の方法は戻す胚の状態によって3パターンあります。

一つ目が初期胚移植で、採卵後二日目あるいは三日目に初期胚の状態で胚移植を行うものです。

二つ目が胚盤胞移植で、採卵後五日目に胚盤胞の状態で胚移植を行うものです。

三つ目が二段階胚移植で、採卵後二日目か三日目の初期胚の段階で一回目の胚移植を行い、採卵後五日目の胚盤胞の段階で二回目の胚移植を行うものです。

それぞれの患者様に合わせて決定していますshine

胚移植の実際は、まず胚が複数あればグレードと成長スピードの両方を合わせて評価し移植胚を決めます。

移植胚が決定したら、胚移植の約30分前に胚移植用の培養液に胚を移し移植に向けて準備します。

胚移植が始まるとまず、医師が子宮の状態を確認し子宮内膜の厚さを計測します。

その後に培養士が顕微鏡下でカテーテル内に胚を吸い、医師に手渡し、カテーテルを子宮腔内にゆっくり挿入していきます。
子宮内膜の最も厚い部分に胚を注入します。

これは移植時の超音波下での画像です。



赤い丸のあたりに、培養液とともに子宮内に移植胚が注入されます。
黄色い線は移植用のチューブの通り道となります。
残念ながら胚はとても小さいものなので超音波の映像では確認できませんが、注入後、移植に用いたカテーテル内に胚が残っていないか確認します。
残っていないことが確認できたら、移植終了となります。
約15分ほどで終了いたします。

また移植用のカテーテルはやわらかいものとなっており、痛みはほとんどともないませんflair

移植後は回復室に戻って少しの間安静にしていただき、ご帰宅いただきます。

以上が移植の流れですheart04

また移植の前に培養士からの説明があります。普段お会いする機会が少ないので、何かわからないことなどありましたらお気軽にお声掛けくださいvirgo

培養室  西田

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2015.05.23更新

今回の「培養室へようこそ」は孵化補助法、(通称AHA:Assisted Hatching)についてお話したいと思います。

胚盤胞まで育った受精卵は、一番外側を覆っている透明帯を破り、外に出ます。これを孵化といいます(Vol.9参照)。
胚盤胞は孵化することで子宮内膜に接着し、その後着床に至ります。



孵化し始めた胚盤胞。矢印の部分が透明帯から外にでています。

胚を覆っている透明帯は、凍結などによって硬くなったり、元々分厚かったりすることがあります。
このような透明帯は、孵化のスムーズな進行を妨げる場合があります。

これを回避するために行うのがAHAです。
AHAにはいくつか方法がありますが、当院ではレーザーで透明帯を薄くし、小さな穴を開ける方法を用いています。

実際にAHAを実施する前の写真です。


AHA実施後の写真です。
赤い丸で囲んだ透明帯の部分に穴が開いています。





さらに透明帯を薄くする操作を行います。
赤い線の部分の透明帯が薄くなっています。



透明帯に穴を開けることによって、孵化がしやすくなり、結果として着床の可能性がUPします。

AHAが終わると、あとは移植の時を待つばかりです。
次回の「培養室へようこそ!」は、ついに移植のお話です!
お楽しみにnote

培養室 仲

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2015.04.01更新

日に日に暖かくなって、桜も見ごろとなってまいりましたcherryblossom
さて、今回の『培養室へようこそ!』では胚盤胞のグレードについてのお話しです。

採卵後5日目から6日目の胚の確認では、胚盤胞の成長状態(胞胚腔の大きさ)、また内細胞塊(赤ちゃんになる予定の細胞)と栄養外胚葉(胎盤になる予定の細胞)の状態を観察していきます。




まず、胚盤胞の成長段階は下記の図のように6段階あります。



胚盤胞になると胞胚腔と呼ばれる空洞が現れます。
成長が進むにつれ、この胞胚腔がどんどん広がっていきます。
最終的に透明帯と呼ばれる殻を破って、殻の外に出ます。これを孵化と呼びます。
孵化をして初めて子宮内膜に接着(着床)することができます。



次に内細胞塊と呼ばれる将来赤ちゃんになる予定の細胞の評価です。


細胞の数によってA~Cの三段階で評価します。
『A』が最も良い状態です。



最後に栄養外胚葉と呼ばれる将来胎盤になる予定の細胞の評価です。


こちらも細胞の数によってA~Cの三段階で評価し、『A』が最も良い状態となります。



この三点により胚盤胞にグレードをつけます。
グレードの表記方法は、


となり、成長段階→内細胞塊の状態→栄養外胚葉の状態の順に表記します。



『4AA』



『4AC』



『5CC』



成長段階『5』の胚盤胞は孵化が始まっています。(黒矢印部分)


このように胚盤胞は「成長段階」、「内細胞塊」、「栄養外胚葉」を総合的に判断し、移植胚を決定します。


簡単に説明させていただきましたが、ご質問やご不明な点がございましたら、医師または培養士にお聞きくださいeye


培養士  堀

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2015.03.04更新

春の息吹が少しずつ感じられる季節になってきましたねbud

今回は、分割胚のグレードについてのお話をしたいと思いますflair
採卵後2日目から3日目の胚の分割確認では、胚の割球数とグレードを観察していきます。グレードは割球の大きさが均等か不均等かと、フラグメントの量で分類していますsign01




グレード1は割球の大きさが均等でかつフラグメントがない胚



グレード2は割球の大きさが均等でフラグメントがある胚



グレード3aは割球の大きさが不均等でフラグメントがない胚

矢印で示している割球が小さいのがわかります。


グレード3bは割球の大きさが不均等でフラグメントがある胚

こちらは青矢印で示している胚が大きく、ピンク矢印で示している部分にフラグメントが少しあるのがわかります。


グレード4は割球の大きさが不均等でかなりのフラグメントがある胚

青矢印で示している部分が割球で、ピンク矢印で示している部分がフラグメントです。


グレード5はフラグメントが胚の50%以上をしめる胚

こちらの胚は割球数を数えることも出来ないほどのフラグメントでうめつくされています。


このように当院ではグレード1~グレード5の6段階で評価しています。
このうち移植可能胚となってくるのはG3b以上の胚です。

また割球数により胚の成長スピードがわかりますsign03
2日目の胚で4分割、3日目の胚で8分割が平均的な成長スピードといわれていますshine

グレードも重要ですが、成長スピードも重要となりますので、
胚移植時は「グレード」と「成長スピード」を総合的に評価し、移植胚を決定しますhappy01

次回は胚盤胞のグレードについてお話しますnote


培養室 西田

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2015.02.19更新

今回の培養室へようこそ!は受精確認についてですhappy01
受精確認とは、媒精やICSIを実施した翌日に、卵が正常に受精しているかを顕微鏡下で確認する作業ですsign03

精子が卵子の中に入り受精すると、前核と呼ばれる核が形成されますnote
受精確認ではこの核が見えるかどうかを確認しますflair
正常に受精した受精卵には、卵子由来の核と精子由来の核、2つの前核が確認できます。
この胚の状態を2PN胚と呼びますsign03





矢印の位置に2つの前核が確認できます。これが「正常受精」ですgood

前核が3つ以上ある時は、異常受精となりますgood



多核の受精卵。前核が3つ確認できますsign03
これは、一般体外受精の場合は1個の卵子に対して2個以上の精子が侵入してしまったり(多精子受精)、
また顕微授精の場合は、もともと1個の精子しか卵子の中に注入していないので、多精子受精ではなく卵子側の染色体の異常の可能性がありますflair
どちらにしてもこのような受精卵は、染色体の数に異常がある可能性が高いため、その後分割したとしても移植に用いることは出来ませんsweat02


前核は、受精後約22時間経過すると1つに融合し、その後見えなくなってしまいますsweat01
そのため、受精確認は採卵翌日の午前中に行っていますsign03
また、前核が見えず未受精卵のように見える卵でも、前核が確認できなかっただけで受精している可能性があるため受精確認翌日まで培養を続けますnote

無事受精した受精卵は、次に分割期と呼ばれる発育段階に入りますbleah

次回は受精卵の分割についてお話したいと思いますnote


培養室 仲

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2015.02.09更新

みなさま、こんにちはhappy01
年が明けたばかり・・・と思っているともうバレンタインの季節ですねheart01
季節の移り変わりは本当にはやいですcoldsweats01



今回はシリーズ6回目、顕微授精についてのお話ですnote

顕微授精を行う場合、採卵して採れた卵子は、まず卵子の周りの卵丘(らんきゅう)細胞という細胞を取り除き、成熟した卵子か未熟な卵子かを見分けます(Vol.5参照)。

確認出来た成熟卵子にのみ、一匹の精子を注入します。
この方法を卵細胞質内精子注入法(ICSI:イクシー)と言います。
ICSIは採卵当日の午後から行います。

↓ まず調整した精子を写真のように右側の細いガラスピペットで一匹捕まえます。





↓ 精子をピペットの先端まで移動させ、透明帯(とうめいたい)と呼ばれる卵子の殻を突き破ります。




↓ 突き破ったところ




これで精子を注入して終わり。。。というわけではありません。
透明帯内側にある卵細胞質の細胞膜を吸引して穿破しなければいけません。
ここできちんと細胞膜が破れていないと精子は卵細胞質の中に入っていないことになり、
受精することができません。

細胞膜を吸引→穿破し、精子を細胞質内に注入します。

顕微授精が終わった後は、培養液に移し、培養器の中で翌日まで培養します。
翌日の午前中に受精しているかどうかを確認します。


次回は受精確認についてのお話ですclover



培養士 辻

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2014.12.04更新

こんにちは。

突然の冬将軍の到来ですが、皆様体調を崩されたりしておりませんでしょうか?
インフルエンザも流行りだしたとういうことなので、お気をつけくださいsnow

さて、今回の培養室へようこそVol.5は、成熟卵と未熟卵についてのお話です。

まず皆様がよく勘違いされていることなのですが、採卵してとれた卵子が全て受精出来るというわけではありません。
卵子は成熟しているものと未熟なものに分かれます。
このうち成熟している卵子でないと受精することは出来ません。

未熟な卵子には二種類あります。
まず一つ目がこちらです。



こちらは、未熟な卵子の中でも最も未熟な卵子です。卵子の中央に白くぬけているのが見て頂けるかと思います。
こちらは卵核胞というもので、こちらがある卵子は最も未熟であるということがわかります。

二つ目がこちらです。



先ほどの卵子から一つ成長段階は進んだ卵子になりますが、こちらの卵子には先ほどの卵核胞は確認できません。
しかしこちらの卵子も受精することは出来ません。

成熟している卵子の写真がこちらです。

時計の四時の位置に小さい丸が見て頂けると思います。こちらが極体というもので、極体が確認できたものを成熟卵と呼びます。
成熟卵のみが受精出来る卵子になります。

二枚目の写真には極体が見当たらないのがお分かりになりますでしょうか。

このように卵子は1枚目の写真から徐々に成長していき、3枚目の写真へと成長しやっと成熟が完了していきます。
このような成熟卵子と未熟卵子の判定は、顕微授精の場合は採卵の午後から行い、成熟卵子にのみ顕微授精を行っていきます。
一般体外受精の場合は採卵翌日の受精確認を行う時に判定していきます。

次回は顕微授精についてお話させていただきます。



培養室 吉田

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2014.11.18更新

 さて、今回の『培養室へようこそ!』では『媒精』についてお話させていただきますねshine

『媒精』とは、培養液の中に卵子と精子を一緒に入れ、卵子と精子の力だけで受精させる方法です。
体外受精の中でも、人の手をほとんど加えないので、より自然に近い受精方法になります。
この方法は基本的に、精子の数や運動性に問題がなく、奥様に抗精子抗体がない方が対象となります。

採卵で奥様から卵子が採取できたら、ご主人様に採精していただきます。
元気のいい精子を回収するために処理を行い、回収できた精子を媒精に使用します。


媒精は、採卵した日の午後に行います。
それでは、媒精の様子を見てみましょう!!



試験管とディッシュの名前が同じであることをチェックします。この作業は「ダブルチェック」と呼ばれ、必ず二人で行います。
試験管には調製した精子が入っています。その下の四角い容器は「4穴ディッシュ」と呼ばれ、独立した穴が4つついています。この穴の中に培養液と卵子が入っています。 

                                                        

次に、卵子と精子が同じ穴に確実に入っていることを顕微鏡で確認します。
こんな小さな穴で一緒にするならすぐに受精できるんじゃないの?と思われるかもしれません。
しかし、卵子までの道のりは途方もなく険しいのです。
精子は、卵側の細胞を分解する酵素を出しながら、卵子を目指します。
一匹の精子のみが卵子の中に入り、受精となります。

受精しているかどうかがわかるのは媒精の翌日です。
受精確認までインキュベーターで培養します。
以上で媒精は終了ですconfident

次回へつづく。。。

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

2014.11.10更新

さて、今回は『培養室へようこそ!』シリーズ三回目ということで、
採卵が培養室でどのように行われているのか、お話させていただきますhappy01note

採卵室で超音波を見ながら採卵針で卵子の入った袋、卵胞から卵胞液ごと卵子をチューブ内に吸引します。
チューブには患者様の名前を書いたシールを貼って、他の患者様のチューブと間違わないようにしています。






卵胞液が入ったチューブは採卵室と培養室をつなぐパスボックスから培養士に渡されます。






受け取ったら、チューブ内の卵胞液をすぐにシャーレに移し、顕微鏡にて卵胞液の中から卵子を探し出します。






回収できた卵子は、午後に受精させるまでしばらくインキュベーターと呼ばれる培養器の中で培養します。






これで採卵は完了ですshine


vol.4 につづく。。。


培養士  辻

投稿者: 医療法人正育会春木レディースクリニック

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